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 仙台 渡邊秀樹

 仙台住 渡邊秀樹ブログ

1月の

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1月の



「火伏だるま」 本郷だるま屋




1月、

本やら御軸やら、我が家には紙モノが多いので

火除けの験担ぎに以前から本郷さんの「火伏せだるま」を手に入れたいと思っておりまして


季節をまたぎ、3,4度お邪魔していますが、いつも在庫無しの空振りであります



今回も、「火伏せは~?」とお尋ねすると、


「売り物は今無いのよー、忙しくて いつ作れるかわからないので約束もできないんですー」と

いつもと同じ応答でありました



私も いつもと同じく、

「忙しいのはよいことですね、需要があって私も嬉しいです、また来てみます」と答え

立ち去ろうとしたところ、今回は、初めて奥様が言葉を継がれまして



「さっきまで東京の雑誌の取材が居てね、最近取材とか多くてナカナカ進まないのよー、手が止

まるからねー、八幡さまも近いから、今その分のダルマさんだけで手一杯なのよー」と




「注文が増えそうで良い事じゃないですか、柳生(柳生和紙・やなぎゅうわし)のおばさんにも

頑張ってもらわないとないですねー」と返しましたところ




「柳生は最近NPOになってから紙質変わって型崩れすっから云々~」と、材料供給の現状を憂う

お言葉で、はじめて会話が続きまして


「白石和紙も途絶えてしまい柳生和紙もですか、

時代と割り切るにしても、もったいない話で、なんとも言えませんねー」などと返しながら

仙台御筆や雄勝硯、仙台平など、私の好む宮城の工芸等の話にまで広がりましたところ



「あんたは、これ持って行ってちょうだい」と、撮影用の見本品を手に取られ、


写真用の出来がイイやつだからとおっしゃって、逆さまにして中を確認され、

「これは柳生和紙使ってるやつだから、ちょっと前のやつだから」と念を押されまして



5度目の訪問にして、私が興味ある分野の会話が出来た幸運

結果、我が家に「火伏せだるま」さんを迎え入れることと相成りました


職人の気風と言いましょうか、スカッと気持ちのよいアリガタさでありました












元日の楽しみのひとつ、大崎八幡宮の大きな奉納だるまを拝見しに行く事

元朝参りは、仙台城址 護国神社で済ませてますので、大崎八幡へは大行列を横目に

この 本郷だるま屋奉納 大だるまを眺めるためだけにお邪魔します


凛々しく、堂々とした表情、その存在感は

新年にふさわしい活力を 私に与えてくださいます









そうしてたまたま1月は、伝統工芸づいておりました





入場無料ということで、三越「日本伝統工芸展」へ、甲田さんの「精好仙臺平袴地」を拝見しに
















「精好仙台平袴地」重要無形文化財保持者 甲田綏郎(こうだよしお)氏作



生糸の精錬、染色から手織り、仕上げ、までの約30工程全てを手作業で行い、

その製造技術は数十年の熟練を要する一子相伝の秘伝とのこと


甲田綏郎氏も 人間国宝の御尊父・甲田栄佑氏からその技術を継承


「精好仙台平」は、日本の第一礼装用袴地の最高峰であり

歴代仙台藩主、政治家、お能や歌舞伎の著名人等に愛用され、

川端康成もノーベル賞授賞式に 日本人の第一礼装として着用


近くは2018年、京大の本庶佑教授が

ストックホルムで開催されたノーベル医学生理学賞授賞式に「仙台平」の袴を着用され、

また同年、国民栄誉賞授賞式に於いて 羽生結弦氏が「仙台平」の袴を着用された事でも

話題に成りました




「仙台平」のお店は地元長町の隣町 根岸なのですが

着用、購入できる機会も予定も無い私が 冷やかしでお邪魔するわけにも行きませんので

工芸展は 絹織物の現物を見るよい機会なのです

(ちなみに「精好仙台平袴地」は30万円台~特製60万、特上160万(仕立て代含まず))




「仙台平」以外は ザーッと拝見したのみでしたが、

漆芸作品が素晴らしかった、陶彩の人形や、七宝も素敵でした











私が手にできるのは、小物程度

甲田綏郎氏と、御尊父・甲田栄佑氏作の 精好仙台平・ネクタイ

栄佑氏の箱書き美しく、そこに叔父・元治郎の影響があると想うだけで私の「宝物」であります



甲田綏郎氏の御尊父・甲田栄佑氏は「精好仙台平」重要無形文化財保持者であり

また、一刀正伝無刀流三段の 剣道修行者でもありました


甲田栄佑さんは、山岡鉄舟の直弟子で、晩年・東北帝国大学剣道師範として故郷に錦を飾った

剣道範士・柳田元治郎(旧姓・甲田元治郎)の甥御さんであります





甲田栄佑氏が「史談無刀流ー山岡鉄舟と弟子元治郎」出版に寄せた文章の一部を紹介します


「「史談無刀流」のゲラ刷りを見た時、感動の涙が止めどもなく流れて、病床の枕を濡らした。

~泉下の伯父が、あの白髭をしごきながら喜んでいる笑顔が、まぶたに浮かんでくる。

私は子供のころ伯父から剣道を習い、書道を教えられた。

ときたま姉とともに伯父に連れられ松島瑞巌寺の盤龍和尚に参禅した。

教授するときの叔父は別人のようにきびしかった。

「お前の勉強は、お前の将来のためばかりか、すべて世の人のためにある。

人の道を修めるのが勉強の本義だ」と、徹底的に克己心をたたきこまれた。

私が自分の進む道を開き、重要無形文化財保持者の栄誉をいただくにいたったのも、

伯父の教え、感化の賜物と、深く感銘している。~」







柳多元治郎 剣道範士(旧姓・甲田)

山岡鉄舟の道場「春風館」門弟420人中、3日間600面立切り試合を成した4人の内の1人


甲田家の長男であった元治郎範士は、

鉄舟に出会い 剣道の専門家に成っていなければ

「甲田機業」を継ぎ、仙台平袴地の作者になっていたかも知れません

















三越からそのまま国際センターへ、

「鹿踊・剣舞(ししおどり・けんばい)」の実演があるということで拝見しに




























会場のステージでは、

宮城県白石市の刀匠・宮城典真(みやぎのりざね)氏の作刀フィルム上映と、

「柳生心眼流」型の フィルム上映があり、鑑賞。


泉区、旧福岡村の鹿踊・剣舞(ししおどり・けんばい)も生で鑑賞できました



いわゆる「剣舞」(けんまい)は、

天覧兜割りでも有名な、直心影流・榊原健吉による明治撃剣興行辺りが発祥とされておりますが


宮城の「鹿踊・剣舞」は、1600年代から地域に根差した400年以上の歴史あるもので

生の実演を鑑賞でき 満足しました





別館では、

雄勝の硯組合、仙台箪笥、仙台御筆、木地ろくろの実演、展示と体験ブースが有り



仙台箪笥金具












道具の展示

















百萬塔などの制作実演















木地ろくろ道具
















「仙台御筆」のブースも充実しておりました



政宗候をはじめ、歴代仙台藩主に献上され、

皇室天覧から”御筆”と呼ばれる様に成った「仙台御筆」


明治後期には、300人を超える筆職人が 連坊小路、三百人町に居り、

10数件の筆問屋があったそうですが


鉛筆、万年筆が一般に普及し始めた昭和初期には、筆職人の数が100人を割り、

終戦後には、名工と言われた仙台御筆職人も 20人ほどに


そして現在は、「大友毛筆」の大友博興さん御一人となってしまいました














笹氣出版「文化伝承叢書」シリーズ、大友博興著「仙台御筆」と、買い置きの仙台御筆




私は、いつか毛筆の練習をしたいと考えておりまして


大正十年創業の老舗、「松泉堂」さんが閉店した折

大友毛筆さんの「仙台御筆」数種を 処分価格で少々買い置きしておりました



仙台御筆を中心に書道具を販売していた「松泉堂」さんは、「大友毛筆」の親戚筋にあたります 


私には身分不相応な立派なお品で、経済もたよりないものですから

いつか 「使うために手に入れたい」と、 ”入手保留” にしておりましたが

閉店処分の情報を たまたま知り得まして

複雑な気持ちで、その時 もとめられるだけ 購入させて頂いた次第

















そして、仙台御筆・「大友毛筆」四代 大友博興さんが会場にいらしていたのを

目ざとく見つけました私は お写真をお願い致しました


本日最高の喜びであります

笹氣出版の素晴らしい「文化伝承叢書」シリーズに

大友博興著「仙台御筆」 があります、みなさまもぜひ















最後に、「精好仙台平」には、札入れや名刺入れ等、比較的購入し易い作品が御座います


「名刺入れ」3,500円前後、

晴れの舞台に「仙台平ネクタイ」15000円前後、

財布の様な形で包まず楽な「金封ふくさ」7200円は重宝すると思います


特に名刺入れは 人目に触れる機会も多く、

会話の種ともなれば 地元伝統工芸応援の一翼を大きく担う事にも成るというもの

自分用、プレゼントやお祝いの品、引き出物等、

世界に誇る宮城の伝統工芸品、ぜひ御活用頂ければと願います






新しく画期的な物は、待たずとも次々と誕生いたします




魅力的な伝統は 積極的な認知、理解、そして需要が無ければ


知らず知らずのうちに衰退し































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プロフィール

HN:
渡邊秀樹
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1966/01/16
自己紹介:
「活人剣」
松島瑞巌寺 松原盤龍老師 書

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